思い知れ 受け入れるしかないぜ どこにいるんだ 何をしてるんだ

みんなそれなりに気になっているのに“触れてはいけないこと”となっているのがいやだ。陰でこっそり私に訊くなら、もっと正面からそれ相応な人たちに訊けばいいじゃないか。訊いてくれよ。けど、そうやって今はみんな不思議に思って気にしているけど、そのうちそんな気持ちも忘れてしまうんだろ。いないことが普通になっていくんだろ。たまに思い出して「あぁ、アイツね」って笑いながら語るんだろ。もう今、既にそんなんが始まってんじゃないか。冗談じゃない。ふざけるな、だ。


最近、酷いストレスを感じる。食事も満足にはしてない。固形物は喉をうまく通らない。喉が痞える感じがするとか、深呼吸ができない感じとか。煙でもあれば違うかと思って、実に2ケタ年ぶりに煙草も手にした。肺に煙が充填されるのを感じた。深く息を吸えたなぁと思った。
それで思い出した。昔、友人が相方に望むことは煙草を吸う人であることだと言っていた。煙草を吸う人と吸わない人では時間の流れ方が違うと。確かにそうだ。
うちの会社は昼休みのほかに午後15分の休憩がある。商品管理の人たちは一定の時間に一斉に休憩をするのだけど、事務職の人はその人の仕事の状況で個々に休憩する。といっても、実際のところ私らは殆どその時間を取らない。満足に休憩スペースがあるわけでもないので、15分という時間をどうやって過ごしたらいいのかわからないのだ。一人だし。それに対し、煙草をやる人はきちんと休憩する。彼はいつもある程度の時間になると私に「ねぇ、休憩しに行こう?」と誘ってきた。一緒に仕事をしている人が休憩していないのに自分だけ行くのは気が引けるんだろう。彼が来てからはその休憩にもだいたい付きあったものだが、それでもバタついてるときは「あとで追いかけるから、先に行っといで」と言ってやんわり断ったりもした。
あとから友人に聞いた話も鑑みるに、15分の休憩すらしづらいと感じていたんじゃないだろうか。うちのチームには健康オタクみたいなのもいるからな。これで私が煙草をやるようになったら、時間の流れが同じになるだろうか。そうなるといいけど。といっても、彼がこのままフェイドアウトではなく会社に戻るという選択をしたとしても、私の隣の席に再び座るなんてことはない気がするけど。その時はその時で。


私は私にできることをして彼を待つ。無駄な努力になったとしても、馬鹿なことをと言われても。